時計のスリの手口徹底解説。メンタリストとマジックの本質

2019/12/05

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マジックってすごいですよね。私たちを簡単に楽しく騙してくれますよね。
その方法はミスディレクションと呼ばれ、マジックではよく使われています。
マジシャンはこう言います。
「よく見ておいてください。」
この言葉一つで簡単にあなたはだまされます。 
有名なミスディレクションの種類は3つありますが、インターネットで簡単にタネが分かります。
でも、実はその情報って結構浅いです。
本当のマジックのタネは簡単に分からないように隠されているんです。
考えてみれば当たり前ですね。すぐに分かったらマジシャンは食べていけないですから。
ですが、今回はその方法を怒られるレベルで解説していきます。
まず簡単な3つのミスディレクション
フィジカル(身体的)ミスディレクション
視覚・聴覚などの感覚を操作し、一時的に注意を奪います。
・自分が見た方向を相手は見てしまう。
・指を指した方向を人は見てしまう。
・相手の顔を見ると、相手は自分の顔を見てしまう。
その隙にタネを仕込みます。 
タイム(時間)ミスディレクション
人の脳は時間と記憶はかなり曖昧なので、時間差を利用します。
・トランプを選んでもらった後に、シャッフルして時間が経った後に相手が選んだカードを当てる。相手はシャッフルする前に選んだことを忘れている。 
サイコロジカル(心理的)ミスディレクション
相手の今までの経験からの偏見・思い込みを利用します。
・カップにコインを入れたらチャリンと音が出るように音を鳴らすが、実は入っていない。コインは手に持ったまま。今までの常識で考えて、音がなったらカップにコインが落ちたと思い込みます。 
ここまでは一般的に公開されているマジックのミスディレクションです。 
ここからは悪用厳禁の高次元の心理テクニックです。
人間の注意は潜在意識を呼び起こして、顕在意識を操作することができます。
今回は、時計のスリの手口です。3つの心理を応用して使います。
・感覚の残像
・顕在意識を奪う(記憶の検索)
・ピックポケットの原理
・感覚の残像
・時計を相手から気がつかれないように取るときは、相手の時計をしている腕を強く握る。すると、時計を取られていても感覚の残像が腕に残っているため、取られたことを認知できません。
今回の触覚で例えるなら、メガネをつけているのにメガネを付けていないように感じて探す感覚とほぼ一緒です。
時計をとる場合は、触覚の残像を使いますが、残像は他の感覚でも起こせます。 
・顕在意識を奪う(記憶の検索)
「さっきポケットに入れたものは?」
「ここで何年働いているの?」
「スマホの右下のアイコンって思い出せる?」
など質問して相手に記憶を一時的に辿らせ、注意を外部ではなく、脳の内部に集中させます。外部の情報を無視するようになります。
・ピックポケットの原理
人間の眼球は
直線を追いかける場合、勝手に終点を予想したところを見てしまう。
曲線を追いかける場合、終点を予測できない。
そのため、曲線を描く様子を最後まで見つめてしまう。
具体的には視線を注目させる場合、手を曲線に描くことにより、視点の終点を予想できないようにして、手に注目を集めておくことができる。
分かりにくいので、実際の方法はこのスリの手口を実際にやっている姿を見てもらった方が早いです。
6:00〜
右側の彼は世界最高のスリ師のアポロ・ロビンスです。

この2つを組み合わせることによって時計のスリを相手の意識に気がつかれることなく成功させています。
自分だけは大丈夫?
私ならそんなのに騙されない?
左の彼の頭が少しチンチクリンなだけ?
たしかにそうかもしれません。
特別に彼のスキルを私が分かる範囲でご紹介します。
実はもっと細かく見るのであれば、
①何度も相手の肩や腕に触れておく。
・フィジカル(身体的)ミスディレクション(音、触覚)
(触れられることが普通と相手の無意識の経験則に教え込む)
画像1
②時計を強く握っている。
・感覚の残像(触覚)
(強く握られているので、取られても数秒間は付けている感覚が残る)
画像2
③相手との距離を取る。
・サイコロジカル(心理的)ミスディレクション(パーソナルスペースから外れる)
(距離が遠いから大丈夫だろう。という思い込みを利用し油断させる)
画像3
④「ところで前ポケットに何が入っていたか覚えていますか?」
・タイム(時間)ミスディレクション
(時間が経ってしまい記憶が曖昧で覚えていない。)
・記憶の検索
(顕在意識が記憶の検索に注意を向け、一時的に外部の感覚を無視。)
画像4
⑤相手の顔をじっと見つめる。
・フィジカル(身体的)ミスディレクション(顔)
(人間は見つめられると、見つめ返す性質を利用、時計から視線を外させる。)
画像5
⑥「お金です。」と相手が言った瞬間に相手の肩を叩く。
・フィジカル(身体的)ミスディレクション(音、触覚)
(触覚の注意を肩に集中させる)
画像6
⑦相手が顔を見た瞬間に時計を外し、相手の時計を付けていた手首に触れながら自然に下ろす。
・フィジカル(身体的)ミスディレクション(触覚)
(見せないようにして顕在意識に気がつかせない。②の潜在意識につけていると触覚を錯覚させている状態。)
画像7
⑧ポケットを見つめて、視線を向けさせて誘導しながら肩、ポケットに触れる。
フィジカルミス(身体的)ディレクション(触覚)(視線)
(ポケットに感覚をを誘導し他人が向いている方向を見る性質を利用。顕在意識の触覚が腕に向かないように誘導)
画像8
⑨時計が無くなっています。

これらのミスディレクションや脳の錯覚の連続を20秒程度で完了させます。スリを実行するときのミスディレクションの密度は更に濃く、彼は1秒程でいくつも仕掛けてきます。 

更に彼が常にやっているのは、話し続けながら緊張と緩和のジョークで油断させたり、もっと細かいところでは、表情、声のトーン、心の距離感の誘導が次元が違う気がします。
私にはそこは詳しく分かりません。
何も知らなければ彼の凄さはよく分かりませんが、何をしているか分かった後ならアポロ・ロビンスの凄さが少しは分かっていただけたのではないでしょうか。 
本質的は脳の無意識のクセを解読し、応用して組み合わせています。

スリは日本でやるとして、損か得かで考えたら明らかに損します。
ただ、海外の観光地には必ずいます。
その方が合理的にメリットが多いからです。
だから海外ではスリは盛んで、当たり前の生活の一部です。
こんなスリから身を守るために、大切な人にミスディレクションの仕組みを教えてあげた方がスリの危険から守れるかもしれません。
既に多くの情報が共有されている時代で情報の囲い込みは難しいです。危険な技すら簡単に手に入り、知らないことが損する時代です。
知識は教えることで身につきやすいです。
聡明な人は「知って、教えて、防衛」しましょう。

とりあえず、ベタベタ触ってくる人は要注意ってことです。
まとめ
詐欺師は騙されないと思ってる人ほど簡単に騙す。

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